まず、ここに一つの逸話をお話ししてみたい。
紀伊大納言頼宜は若年から茶道を◇て、
立花宗茂・細川
忠興・伊達正宗と交わりが深かった。
ひと年忠興帰国に際して、頼宜の家臣渡邉一學直綱に、
自分もよる年波、このたびの帰国で又の出府も◇束ないように思う。
そうなると末期の思い出に、紀伊家秘蔵の◇◇の墨跡を拝見したいものであるという
◇◇をもらしたたので、直綱はその旨を主人頼宜につたえた。
頼宜これを聞いてそれは、かんたんなことである。
それではお招きいたそう、というので
日を期して、紀伊家で茶会が催された。
いつわ【逸話】世間にあまり知られていない、興味のある話。エピソード。