その日になって忠興は紀伊家にご訪問し

さて席に入って見ると、床にかけてあるのは望んだ

◇◇の墨跡ではなく、

清◇和尚の墨跡で、

お祝いのかけものがかけてある。

忠興は予想がはずれてしまったが

しかたがない。

茶会はとどこおりなくすんで

書院でゆるゆる物語りの後、退出した。