器物を正しく扱う為には、

器物の正面を見立てることが第一である。

 

この正面を、略して面ともいう。

 

繪書とか文字とか、目ぼしいものがある時には、

この面の見立てはさまでのもないが

一寸工夫を要するものもある。

 

たとえば模様もない茶碗では、ただ主人の好みが正面の見立てとなる。

かく定められた面を自分にひきあてて扱うことが原則で、

これを客に渡す時は、その面を改めて客に向わしめる。