一◇何物によらず正面を一度身にひきあてて扱う時、

はじめてその物に宿す

心の影を十分に認めることが出来る。

これを十分に◇検して客にすすたならば、

そ相がある筈がない。

 

器物を取る手は、軽く手早くするとも、

置く時は重く思い入れあるがいい。

 

しょうおうも「何にても道具置き付け◇る手は戀しき人にわかると知れ」

と言っている。

この心持ちを残心という。

この残心をひきあしらいに表すのを

心地という。